No.1510。12 (ページ27)

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新たなスタート。ページ27

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ロスから帰国し時差ボケを直した翌日、私は予定通り会社に出勤した。

Diorのポーチを携えて────

「嘘ぉ！？まじでぇ！？まじで買ってきてくれたの！？」

「頭が高ーーい！」

純奈は平伏すように頭を下げて、勲章でも受けとるが如くポーチを手にした。

「隆二さんと私から。隆二さん、純奈の結婚式に出たいけど自分が出たら迷惑かけるかもしれないからせめてお祝いだけでもって」

「え……そんな気ぃ使って貰わなくても良かったのに！どうしよ！受け取れない！」

「何で！受け取って。隆二さんの気持ちだから。その方が喜ぶよ、隆二さんも」

純奈はしばらく悩んだ顔をしたあと、いつもの柔らかい笑顔を私に向けた。

「ありがとう。右の人にも“ありがとうございました”って100回くらい伝えてね！結婚式で使う小物、全部これに入れてっちゃう！サムシングニューはコレ！」

「サムシングニューって身に付けなきゃいけないんじゃないの！？」

「知らない。でもコレ絶対縁起良いから」

私は笑顔で“うんうん”と頷き、休憩スペースのコーヒーメーカーに手を伸ばす。

「って言うか、右の人からは分かったんだけど半分Aからなのは何で？」

「だって、純奈の結婚式会費制にするんでしょ？だから御祝儀代わり」

「良いのに、そんな……」

「あ、現金の方が良かった？」

「ちょっと」

純奈は笑いながら、ビスコを私に放り投げた。

二人の結婚式はレストランウェディング。

場所は、麻布の陽ちゃんのお店。

二人の思い出のメニューや、ゲスト一人ひとりの好みやアレルギーにも配慮できるし、何より陽ちゃんの料理は美味しい。

来た人全員が笑顔になるのは間違いない。

「ねぇねぇ、ドレスとか決まった？」

「うん。すごーいシンプルなやつ」

「素材が良いから映えそう」

「でしょー？」

「順調に決まってるんだね。良いじゃん」

「そうでもないよ？ちょいちょい揉めることもあるし。母に言われたの“そういうのは神様に試されてるんだ”って」

「神様に？」