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本気!?と戸惑ってるのに、私のお腹からは笑いが込み上げていた。









「無理無理無理!踊れない!隆二さん!私、体育祭のフォークダンスで渋滞作った人ですよ!?」









「それはアレだろ、Aと踊りたい奴が渋滞作ってたんだろ」









「違う!そんな甘酸っぱいのじゃなくて、もっとしょっぱいやつ!」









隆二さんは私の手を引っ張って、スペースまで走った。









「ねぇ隆二さん!本当に踊れないって」









「俺もこういうの踊れないって」









「じゃあ何で参加したの!」









私たちは声を上げて笑い転げた。









「見よう見まねだよ」









隆二さんは私と体を密着させ、腰に手を回す。









「こうしてたら踊れてるみたいに見えます?」









「見える見える」









私は隆二さんの肩に手を置いて、少し顔を上げた。









「隆二さん、ありがとう」









その瞳で、私を見つけてくれて









その手で、私の手を握ってくれて









その唇で、私の名前を呼んでくれて









私を、こんなに好きにさせてくれて









私の世界を、









こんなにも眩しく照らしてくれて。










見つめあってる隆二さんの瞳が何か言いたそうで、









私は首をかしげる。









かしげた私の頬に、隆二さんは自分の頬をくっつけ









「ねぇ」









耳元に唇を近付けた。









.









「自分が、どれくらい愛されてるか分かる?」









.









その囁きに、隆二さんの肩に置いている手に思わず力が入った。









キスする寸前の距離で見つめ合い、私は赤らんだ顔のまま小さく何度も頷く。









「隆二さん……こっちの空気にかぶれちゃった?それとも、酔ってる?」









「……両方じゃね?」









おでこをくっつけて笑う私たちを、









沈み始めたロスの太陽が優しく優しく、








包んでくれていた。










.









.









3泊5日の小旅行。









私は帰りの飛行機の中から、遠くなるロスの街を見下ろしていた。









来たときより増えた荷物と、









彼への愛情を胸に抱えて───。

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作者名:ぽち。 | 作成日時:2019年4月17日 19時

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