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「ま、まぁ、情緒はティーン並に不安定ですけどね、私」
隆二さんは笑って良いのか悪いのか、みたいな顔をして積んであるお皿を取った。
「何か食べる?取ってこよっか?」
「えっと……」
あっちではグリルでバーベキュー、あっちではピザとカップケーキ。
ケータリングも来ていて、私は目移りする。
「隆二さん一緒に取りに行こ」
「そこ座ってなよ。俺行ってくるから。レディファーストですよ」
「それすごく嬉しいけど慣れてないから一緒が良いな」
「んじゃ一緒に」
腕を組んで、美味しそうなものを二人でチョイスする。
飲み物はグラスにすこーしだけワインを注いでもらった。
庭に並べられたテーブルから、隆二さんは一番眺めが良さそうな場所を選んだ。
「何か良いですね。こんな感じでお祝いがあるって。純奈が言ってたんです、結婚式はこじんまりにするって。仲の良い人だけで」
「へぇ」
「折角だから盛大にすれば良いのにって思ってたんだけど、社交辞令じゃなくて本当に気持ちがある人だけにお祝いしてもらうのも良いなぁって思いました」
「確かにね……うん」
「……純奈で思い出したんですけどロスの空港にDior入ってましたっけ?」
「Dior?あるけど化粧品しかなかったんじゃないかな……なんで?」
「お土産」
「純奈ちゃんに!?ロス関係ないじゃん!」
「私もそう言ったんですよ!もう……ロスには1軒もDiorなかったって言っちゃおかな」
「いやダメでしょ」
隆二さんは笑いだし、街の方を指差した。
「明日、空港行く前に寄ってみる?」
「あ、じゃあ早めにタクシー呼んで、」
「俺も行くよ」
その発言に、私はブンブン首を横に振る。
「最後の最後まで隆二さんに付き合ってもらう訳にはいきませんよ!明日の朝になったら、隆二さんはまたアーティストモードに戻るんです」
「ちょっと付き合うくらい大丈夫だって」
私は食べようとしていたカップケーキをお皿に戻し、隆二さんを見つめた。
「隆二さん。“どうして私なの?”は、もう聞かない。でも、どうしてここまでしてくれるの?無理してない?」
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2019年4月17日 19時