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「き、気にしてませんよー?」









私は手早くワンピースに着替え、試着室のカーテンを開けた。









「どう……ですか?甘すぎかな?」









隆二さんは暫く私を見つめたあと、









その優しい目尻を下げた。









「すごい似合ってる。良いじゃん。素敵なお嬢さん」









隆二さんの言葉に、私の中のチョロ山チョロ子が顔を出す。









「これにします!汚さないうちに脱いじゃう!」









開けたばかりのカーテンを閉め、私はニヤニヤしたままワンピースを脱いだ。









ウエストを少し詰めてもらったワンピースを包んでもらっている間、私は店内を見て回る。









あっ、と目に留まったのは光沢が美しい1本のネクタイ。









それを手に取った私は「これだ!」とレジに向かった。









「ネクタイ?純奈ちゃんの彼氏にお土産?」









「ううん、隆二さんに」









「俺!?」









「これ、PRADAなんです。お揃いだし、ブラックタイは正装に欠かせませんから」









「あぁ、じゃあコレも」









「あ!コレは私が買う!」









「何で」









「ワンピースとの値段は釣り合ってないけど……私からのお礼です」









「良いって。Aは俺に時間使って来てくれたから。俺は俺が使えるもの使ってるだけ」









「私、時間使ってるなんて思ってません。隆二さんが誘ってくれて嬉しいんです。だから……ね?」









私たちの会話を雰囲気で感じ取ったのか、ネクタイとカードをカウンターに滑らすと、店員さんは頷きながらそれを受け取った。









「え、本当に良いの?」









「良いの」









「ありがとう」









髪を撫でられ、照れた私は少しだけ俯いて微笑んだ。









.








.









.









.









.









「明後日のパーティー楽しみです。お天気も良さそうだし」









「そうだなぁ」









目的もなく隆二さんと街をプラプラ歩きながら、私はロスの乾いた風を胸に吸い込む。









「明日は何か予定ありますか?」









「明日は夕方から天文台行こうかなって」









「グリフィス天文台!?」









「そう」









「本当に!?あそこのプラネタリウム凄く見たかった!」

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作者名:ぽち。 | 作成日時:2019年4月17日 19時

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