Flying Come. ページ1
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「忘れ物、ないですか」
「うん。何かいつもそれ聞かれるなぁ」
「だって……」
隆二さんが、ロスへと戻る────
今日は仕事だし、やっぱり寂しくなるから空港まで行けない私は、玄関先で隆二さんを見送ることにした。
今回の帰国は約2週間だったけど、一体どれくらいの時間を一緒に過ごせたかな?と、つい考えてしまう。
隆二さんの部屋から私の家へと荷物を運び入れたり、何だかバタバタしてたような気もするし……。
「あれだよ、庭に行くドア。ちゃんと鍵かけときなよ?岩ちゃんじゃない奴入ってきたら大変だから」
「はい」
こんな風に“さぁ行くか”と支度をしている隆二さんを見るのが好きだ。
靴を履こうとかがんだときの首のライン。
鏡をチェックする目元。
引き締まった頬や、力の入った唇。
私しか知らない姿みたいで、凄く好き。
「よし。じゃあ行ってきます」
「はい。行ってらっしゃい」
笑顔で挙げた私の手を掴み、隆二さんは少し長いキスをした。
重なる体温、離れる唇、ほどけていく指。
今だけ、バイバイ────
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「右の人、今頃空の上かぁ」
「ん?うん、そうだね」
「そうだねって随分あっさりしてるじゃん」
「あっさり言っとかないと悲しくなるからだよ!」
「何で見送った方がホームシックになってんの」
純奈はケラケラ笑いながら「HappyをShareしてあげる」と、私の口元にポッキーを運ぶ。
「ありがとう」
ポッキーを唇に挟んだ私は、
「ん!?」
今朝の隆二さんみたいに、純奈の手を掴んだ。
「何これ!!何これ!何これ!左手の薬指にダイヤの指輪!」
純奈の左手の薬指には、一粒ダイヤが上品に光る指輪がはめられている。
「こ、婚約!?プロポーズ受けたの!?」
健太郎くんからプロポーズを受けて7ヶ月。
純奈が、ついに答えを出した。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2019年4月17日 19時