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「何……うちのこの雰囲気」
“クイズ!私の彼氏は部屋の中に居るどの人でしょう!”を開催したら、正当率はどれくらいになるだろう。
「はい!出来ましたー!」
隆二さんに「お鍋置きますよ」と声をかけ、私はテーブルの真ん中に土鍋を乗せた。
「どうぞ召し上がって下さい」
突っ伏していた隆二さんもようやく顔を上げ、4人で異色の食卓を囲む。
「Aちゃん、あれは?日本酒」
「え、飲むんですか!?」
「飲むでしょ」
岩ちゃんも何故か“やめなよ”とは止めない。
“臣くんが飲むって言ってますけど”と隆二さんに視線を送ると、彼はもう一度「好きにして」と呟いた。
「えっと……じゃあ、用意します」
大事な話は一体いつになるのか……
天を仰ぎつつお酒の用意をしていると、隆二さんが冷蔵庫を開けに来た。
「柚子胡椒……」
「あ、ごめんなさい。出すの忘れてました」
「大丈夫大丈夫」
「あの、隆二さん」
「んー?」
「大事な話……いつしますか?」
「……今日はしない。また今度」
「えぇ!?」
「無理っしょ。二人来てるし」
冷蔵庫をパタンと閉める音が虚しく響くキッチン。
「Aちゃーん、お酒まだー?」
臣くんのフリーダムな声。
「Aちゃーん!喉渇いたー!まだー?」
何だったの、大事な話って────。
「Aちゃーん!喉渇いたー!」
「……そうですか。じゃあ、がんもの汁でも吸っててください」
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2019年3月8日 21時