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「まさかぁ……」

ブツブツ言いながら自宅に辿り着いた私は、玄関のドアを開け「わぁ！」と叫んだ。

「「「あ、おかえりー」」」

「た、ただいま……です」

玄関のタイルの上には、隆二さんだけじゃなくて臣くんと岩ちゃんも居たからだ。

何て言うか、３人集まるとオーラの圧が凄い────。

私は“何事！？”と、隆二さんに目で訴える。

「臣と岩ちゃんがね、Aの家を見たかったんだって。一軒家珍しいから」

「あぁ！そうだったんですか！」

「そー。気になっちゃってさー……所でその袋はアレ？ご飯の材料？」

臣くんにエコバッグを見つめられ、私は小さく頷く。

「えー、何作んの？あ！おでん！？この具材はおでんだ！」

エコバッグを覗き込んだ臣くんを、岩ちゃんが「やめなよ」と止めた。

「おでん？おでん？」

「は、はい。おでんです。今日寒いし……」

「あーなるほど。寒い夜に熱いおでん食べてこの日本酒でクイッといくわけだ？ね？」

臣くんの肩越しに、眉間にシワを寄せた隆二さんが小刻みに顔を横に振ってるのが見える。

「えっと……クイッかどうかは分からないんですけど……」

「臣、もう家見たから良いでしょ」

「中は見てない」

「は？」

「外観と玄関しか見てない」

「外観で充分だろ。部屋探ししてるわけじゃねぇんだから」

「いや、中も見たい」

「臣さん、駄目だって、二人の邪魔しちゃ」

「え？邪魔？俺、邪魔？Aちゃん、俺、邪魔？」

中目黒の周波数についていけない私は、再び隆二さんを見た。

相変わらず眉間にシワを寄せ、顔を小刻みに振っている。

「邪魔とかじゃないんですけど……」

今日は大事な話がある日で……。

「ほら、邪魔じゃないって、隆二」

「邪魔だろ？邪魔って言えよA」

「え、え？」

「Aちゃん板挟みで可哀想じゃん。ねぇ？」

岩ちゃんの問い掛けに曖昧に頷く私。