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東山のお店には、隆二さんが先に着いていた。
“奥だよ”とシェフに目配せされ、私は会釈をして個室のドアを開ける。
「すみません、待ちました！？」
「ううん」
先に飲み物だけ頼んでいた隆二さんの向かいの席に座り、私は彼の手を“ねぇねぇ”とつついた。
「ん？」
「私は、二人が良い感じだと思います！」
「え？」
「子供。私は二人欲しい感じです」
「………」
隆二さんは、暫くぽかんとしたような表情で私を見つめたあと、
「へぇー」
その魅力的な唇を左右均等に持ち上げた。
「俺は３人」
「３人は厳しくないですか？３人とも私立の理系とか進んだら家が建つ勢いですよ？」
「は？なに自分と同じ進学する前提で話進めんての？俺の高校中退の遺伝子なめんなよ」
「私の国立理系の遺伝子もなめないで頂きたい」
いつか純奈が言ってた。
────“遺伝子レベルで恋に落ちてる”
子供は何人が良い？って話なのに、私たちは自然とお互いの遺伝子が合わさった話をしてる。
それがとてもムズムズして、
「Aの遺伝子俺のにボッコボコにされるって」
「大丈夫。私の遺伝子、根性座ってますから」
でも何だか、楽しかった。
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作者名：ぽち。
| 作成日時：2019年3月8日 21時
