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「……あ!私分かった!隆二さんが私と最初に会ったときに思ったことの3つ目ってそれでしょ!ずっと自分だけの彼女な気がしたってやつ!」
「あ、違いますけど」
私は「えぇ……」 と項垂れる。
「隆二さん、3つ目はいつ教えてもらえますか?」
「さぁ……。知らないままにはしときたくはないけど」
隆二さんは悪戯な笑顔を浮かべ、私に小さくキスをした。
「……今の、何のキス?」
「さぁ……」
「そればっかり!」
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翌日、仕事を終えて会社を出ると、通りの向こうにベントレーが見えた。
「嵐士……?」
車に近づくと後部座席の窓が開いて、予想通り嵐士が顔を出した。
「ちょっと、時間ある?」
「うん……」
私は車には乗らず、近くにあったベンチに嵐士を誘った。
「悪かったな昨日。もうちょっと上手い嘘つけたら良かったんだけど……揉めなかった?」
「うん、大丈夫」
「そう?良かった」
嵐士がポケットからタバコを取り出したので、私は“路上喫煙禁止”の看板を指差した。
「……人より税金払ってんのになぁ」
嵐士は苦笑いを浮かべてタバコをしまう。
「……どうしてあの人が私の彼氏って分かったの?とってもじゃないけど商社勤めには見えなかったでしょ?」
「目……かな」
「え?」
「彼がAを見る目。あれは惚れてる女を見る目だった」
隆二さんと、同じことを言ってる。
「Aも焦ってたし。何となくね」
「そっか……」
「でもビックリした。Aが芸能人と付き合ってるとか」
「……知ってるの!?隆二さんのこと。嵐士、全然日本に居ないから知らないかと思ってた……」
「レコード会社の株主用資料に載ってた。彼……彼らか」
「株主用資料?それって……どういう意味?」
「平たく言うと……主力商品。うちの会社にはこれがありますから安泰です……みたいな。資料見て株売られちゃ困るでしょ?だから売れてる商品載せるわけ」
「それって、すごいよね?」
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2019年3月8日 21時