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ギフトコーナーをクルクルと歩きながら矢継ぎ早に質問する私を見て、隆二さんは何故かちょっと笑っている。

「……あ、うざかったですか……すみません」

「ううん。そういうんじゃないよ」

目尻を下げた隆二さんは私の髪をひと撫でして、棚の前で少し腰を屈めた。

「貰ったら嬉しいって、例えばこれとか？」

「うんうん！」

それから30分、私たちは時間をたっぷりかけてプレゼントを選んだ。

ラッピングしてもらってる間、園芸店と同じように「メッセージカードはどうなさいますか」と訊ねられた。

「あ……はい、お願いします」

ちょっと照れ臭そうにメッセージカードにペンを走らせる隆二さんを、私は温かい気持ちで見つめる。

今夜、家に帰ったら部屋にカサブランカの花を１輪飾ろう。

母が好きだった花。

記念日ごとに父が買ってきていて、その数日間は部屋がカサブランカの香りに溢れていて────

「んっ」

隆二さんが、メッセージカードを私の方に滑らせた。

「Aも」

「え？」

「Aも選んでくれたんだから。何か書いてよ」

「書いちゃダメでしょ……」

「何で」

「母の日のプレゼントですよ！？彼女と選んだなんて……もう、何か、ダメ」

「そんなことねぇだろ」

「ありますよ！ねぇ！？」

私はカウンターの向こうに立っている50代と思わしき女性の店員さんに話を振った。

「え！？えっと……」

「ありますよねぇ！？」

「ないっすよね？」

「えっと……」

隆二さんと私の間で板挟みの店員さん。

「そうですね……」

私は無意味に財布を取りだし、伊勢丹グループのエムアイカードゴールドをチラッと見せた。

店員さん。
私の味方してくれたらこのままジミーチュウに行って靴を買います……このカードで。

「………書かない方が宜しいかもしれませんね！」

小さくガッツポーズした私の隣で、隆二さんはムニュッと唇を歪めた。

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「夜飯何にする？」

新宿をプラプラ歩きながら、隆二さんが私に訊ねた。