No.1510。11 (ページ28)

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はじめまして。ページ28

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その夜、お互い仕事終わりに待ち合わせして、向かった先はデパート。

「母の日？」

「そう！毎年、先生に母の日のプレゼントするんです……隆二さんは？」

「え？」

「え？じゃなくて。隆二さんはお母さんに何あげるの？」

「あー……考えてなかった」

「だめそれ！」

隆二さんはギョッとしたような表情をして私の顔を見た。

「隆二さんも選ぼ？ね？」

「う、うん」

１階の園芸店は、温室に迷い込んだみたいに色んな草花で溢れている。

その中から、私は迷わずカーネーションの花束を選んだ。

「カーネーション？芸がないね」

「でも、カーネーションって普段貰わないでしょ？お母さんだけが貰える花って感じがして私は良いと思うんですけど」

「あぁ……そっか」

隆二さんは腕を組んで、カーネーションをじーっと見始めた。

「芸がないと思うなら、カーネーションに何か添えたらどうですか？」

「何かって？」

地方発送の伝票を記入しながら、私は「それを考えるのが楽しいんじゃないですか」と微笑む。

「メッセージカードはどうなさいますか？」

「お願いします」

先生へのメッセージを書いている間も、隆二さんはカーネーションをずっと見てる。

「では、お預かりします」

「宜しくお願いします」

園芸店を出たあとも、隆二さんは難しい顔。

「隆二さん。今回の帰国はちょっとゆっくりなんでしょ？」

「ん？うん」

「時間見つけてカーネーション買って実家に持って行ったらどうですか？お母さん、きっと喜ばれると思いますよ」

「でもピアノの搬入とかあるじゃん」

「それは私が家に居れば良い話でしょ？ほら、プレゼント選ぼ？お母さん何が好きですか？」

「何ってなぁ……」

「お母さんくらいの年代の人だと、もうある程度の物は持ってると思うんですよね……だから、食べ物ギフトも良いかも。自分じゃ買わないけど、貰ったら嬉しい感じの……お母さん、甘党？辛党？」

「えっと……」

「食後に必ずデザート食べるとかありますか？お酒は？飲まれますか？」