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「よそよそしいじゃん。何かおかしい」
隆二さんは寝室のロフトを覗いたあと、ベッドのシーツを捲ったりしてる。
「隆二さん何して……あ!私が浮気したって疑ってます!?」
「そうは言ってないじゃん!何か隠してんのかって思ってんの!」
「何も隠してませんよ!」
「んじゃ何でそんなよそよそしいの?」
腕を組んだ隆二さんに見つめられ、私は少し視線を下げた。
「……1ヶ月会ってなかったんですよ?ちょ、ちょっと照れたりするじゃないですか」
こんなこと言ってる自分が、今一番恥ずかしい。
「ぎこちなくなってるだけです……まさか浮気を疑われるとは思ってなくて……」
「いや、浮気は本当に疑ってないんだけど」
「じゃあ何?」
「……冷めたのかなぁ……とか」
「へ?」
私は顔を上げ、隆二さんの顔を真っ正面から見た。
「この1ヶ月、かまってやれなかった。電話もあんま出来なくて……だから、俺に冷めたのかなぁ……って」
隆二さんは下唇を軽く噛んで、眉間にシワを寄せている。
これは、たまに見せる“どうしよう”の表情。
私は何だか体の力が抜けて……隆二さんのその表情がたまらなく愛しく感じた。
「冷めてたら、往復3時間もかけて空港まで迎えに行ったりしません。それに……照れたりもしない」
私は隆二さんに1歩近付き、その手を握り締めた。
「私たち、今まで色々な理由で離れてました。でもこうしていつも戻ってる。距離や時間が理由で今更冷めると思う?」
隆二さんは夢から醒めたような目をして、小さく何度も頷いた。
「それに……ロフトとかベッドの中に隆二さんに冷めてる証拠あるんですか?」
「……さぁ?」
隆二さんは私の手を撫でながら、吹き出すように笑いだした。
私も笑いながら、隆二さんの腰に腕を回す。
「1ヶ月ぶりだから照れるって言えば良かったんですよね……ごめんなさい」
「何かちょっとアレだね。お互い久しぶりで調子がおかしいんだよね」
「ですね……」
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2019年3月8日 21時