No.1510。11 (ページ14)

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いくら夢への一歩、かけがえのない経験だと言っても、知らない場所へ行くことには不安もあるでしょう。

大きな荷物と、丸まった背中がそれを物語ってる。

「飛行機、何時でしたっけ」

「夕方の便。見送り来る気になった？」

「……誰かを見送るの苦手です。空港って……何かセンチメンタルだし」

「何だよそれ」

笑って小刻みに揺れる、隆二さんの逞しい肩。

気が付けば私は、その肩に駆け寄って後ろから抱き締めていた。

「……どした？」

「ちょっと……寂しくなりました」

一生会えない訳じゃないのに、たった２ヶ月なのに、たまには会えるのに……

隆二さんが遠くの人になるみたいに感じて、寂しくなった。

「寂しくなったの？」

「うん……」

隆二さんはスーツケースに鍵をかけ、私の方に向き直る。

「変わったなぁ」

「え？」

「付き合いたての頃、会いたいって言わせるのも一苦労だったのに」

目を細めて私の髪をかき上げる隆二さんに、私も思わず微笑んで

キスをした。

「頑張ってね、隆二さん。応援してます。何かあったら私のこと呼んで！行くから！」

「西海岸まで！？」

「そう！」

「まじかよー」

────私たち、離れる寂しさを隠すために、一緒に暮らす話に花を咲かせてたのかも。

飛び立つまでの僅かな時間。

秒針の音も惜しくて、ひんやりしたフローリングの上で抱き合ったこと、今でも忘れられない。

絡み合う指も視線も、まだ離さないで。

ギリギリまで、その瞳に私を映してて。

それは、わがままじゃなくて

私の本音。

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4月×日
Whatever happens, I am always on your side.