検索窓
今日:15 hit、昨日:34 hit、合計:406,579 hit

2 ページ47











「全然、楽しかった」









笑顔の隆二さんがテーブルに並べたパンフレットや書類たちを、私は舐め回すように見た。









「行き先はバリでーす!イェーイ!」









隆二さんが拍手をしたので、私もつられて手を叩く。









「で、ここ泊まる」









目の前に出されたパンフレットを見て、私は目を見開いた。









「フォーシーズンズだ!これ、ヴィラってやつですか!?」









「そうそう。ホテルと違って周りのこと気にならないし、ここで完結出来るって言うのかなぁ」









写真で見るそこは、レストランもスパもプールもビーチも敷地内にあって、ここから1歩も出なくても過ごせそうな雰囲気。









「観光でアクティヴに過ごしたいならそういう風に手配するし」









「ううん!こういう場所でゆっくりするの凄く良い!憧れちゃいます……」









「憧れじゃなくて行くんだって」









隆二さんが笑って、私は「そ、そっか」と何度も頷いた。









「海が見える部屋にした。ベッドに寝ながら海が見えて、何だっけ?プライベートプール?がついてる」









「プール!?部屋に!?」









「そー。あとは泊まってからのお楽しみー。これ、パスポートの番号とか書くやつね、あとこれが保険の。月末までに書いといて」









「あの、私の分の旅行代は?いつ渡せば良い?」









「は?何それ」









書類を封筒にしまいながら、隆二さんが首を捻った。









「私の分の旅行代ですよ」









「良いよ。そんなの」









「だめ!そんなのって金額じゃないもん。ジュース奢るのとは訳が違います」









「良いって。誘ったの俺だし」









「隆二さん、私だって仕事してお給料もらってるんですよ?」









「知ってるー。売るほど靴持ってるもん」









「そうじゃなくて、」









「俺がしたいの。二人で出しあって行く旅行も楽しいのは分かってるけど、俺が全部したいの。自己満。付き合って」









「じゃ、じゃあ!何かお返し出来ますか私に」









「お返し?普段してもらってるから良いよ」









「うーん……」









突然、隆二さんの両手が、私の頬をムギュッと挟んだ。









「“うーん”じゃなくて“うん”って言ってよ。そっちのが俺嬉しいけど」

3→←気分上々。



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (107 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
743人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ぽち。 | 作成日時:2019年1月14日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。