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「隆二さんありがとうございます。すごくきれいなの選べました」
「良かった」
「ありがとうございます、本当に」
「良いよ良いよ。俺もムズムズしなくて済むし。けど本当はアレだよね、事前に調べてサプライズであげなきゃなんだよねー」
「……じゅ、充分サプライズでしたけど!」
「え?そう?どの辺が?」
────何故ここで天然発動。
「ビックリしましたよ私!今もまだ何か緊張して表情固いですけど……本当に嬉しいんです。隆二さんの気持ちもそうだし、何か……あぁ、隆二さんの彼女だなぁって……変ですよね。でも嬉しい!本当に!」
隆二さんはキュッと口角を上げて私の髪を撫で、チョコの包み紙を剥がした。
「はーい、いっぱい悩んで頭使ったからチョコ食べて」
隆二さんの指先から食べたチョコは、
それはそれは、甘かった。
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車の中で早速指輪を着けた私は、手を下げたり上げたりしながらニヤつきも抑えずにそれを眺める。
「はぁ……」
「……ずっと一点見てると酔うよ?」
ハンドルを握りながら隆二さんが笑う。
「うん、でも嬉しいから見てたい」
「そっか」
「きれい……ね?隆二さん」
「君の方が綺麗だよ……とか言う?」
「んー……良いや」
「何でだよー」
私が指輪より綺麗ってことはない。
でも、ただでさえキラキラしている薬指の指輪は、隆二さんのこの笑顔でもっと輝く。
「こっちから行くかな……」
晴海通りへと入った車は、順調に進んでいく。
「このあとは、どこに行きますか?」
「さぁ、どうしよっかなぁ」
隆二さんの横顔を見て、本当はどこに行くか決まってるんだろうなって思った。
でも、行き先も聞かず“連れてって”って言える。
バックミラーも地図も見なくて良い
どこへでも付いて行ける。
「晴れてきたじゃん」
「ね。良かった」
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2019年1月14日 17時