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「ほらぁ！出来たじゃん！」

隆二さんが手のひらに乗せたアップルローズ。

それは、ちゃんと花びらが開いて綺麗なバラの形になっていた。

「あぁ！去年より綺麗！上達してる！すごい！」

「だろー？出来んだって俺。器用なんだって」

「去年はどうしたんですか？何か事情があってあんな感じになったんですか？」

「２個目作るんでちょっと黙っててくださーい」

「はーい」

笑う隆二さんの横顔を見ながら、私はその幸せな空気を胸に吸い込む。

「隆二さん」

「ん？」

「今年もありがとう。一緒にお祝いしてくれて」

「んー？俺がしたいからしてんだよー？」

作業をしながら、隆二さんはそう答えた。

「隆二さん、優しすぎない？」

「俺？そう？お前にだからじゃん？」

「えっ」

「誰にでも優しいと思うなよー？」

ニッと笑ってまた手を動かし始めた隆二さんの腰に、私は後ろからそっと抱き付いた。

「誰にでも優しいなんて思ってません。でも、隆二さんは優しいでしょ」

「じゃあ、そういうことで」

「うん」

「でもさぁ、優しすぎるのはAじゃない？」

「え？」

「ほら、俺の誕生日プレゼント買いに行ってくれた日。臣に朝方まで酒付き合ったんだって？」

「あ……」

「黙って俺の愚痴聞いてくれたんだよーって臣言ってた。A、ほとんど寝ないで仕事行ってその日の夜に俺のこと祝ってくれたわけでしょ？」

「うん……」

「そんなこと全然言わないでさ」

「隠してた訳じゃないんですよ？」

黙っとこうと思った訳じゃなくて、男の人が酔っぱらってくだを巻くなんてよっぽどだと思ったから。

私からベラベラ話すことじゃないと思った。

「分かってるよ？そこも含めて優しいって言ってんの。臣、嬉しかったみたい。素直に肩肘張らないで話せる女の子居ないじゃん、あんま」

「……モテちゃうから？」

「好きになられちゃうからね」

「ふふっ」

「まぁでも、今度から頃合い見て臣のこと置いて帰れ。な？」

「え！？」

隆二さんは笑って、私の腕を軽く叩いた。