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ニッと笑った隆二さんが、またカレンダーにペン先を立てた。
「こことここが仕事で、31日は生放送」
「あ!何とか音楽祭だ」
「是非、ご覧ください」
「正座して観ます」
「絶対だからな」
「……うん」
「で、明けて1日は空けるからさ。一緒に」
「1周年……?」
「うん」
私はこれ以上顔がフニャフニャにならないように表情を引き締めたけど、それでも口角が上がりたい上がりたいと言うことを聞いてくれない。
キュッと口角を締めて、下を向いてカレンダーに書き込んでる隆二さんを見たら、
彼の口角も上がってた。
「隆二さんニコニコしてる」
「お前もな」
何でバレたんだろ……つむじにも目がついてるの?そう思いながらコアラを撫でる。
「あとさ」
「うん?」
「こういう時、いっつもAが用意してくれるじゃん、部屋とか料理とか。今回は俺がやるからAはお客さんの気分で」
「え、でも隆二さん忙しい」
「それはお互い様でしょ」
「でも」
「いーから!しっ!黙って」
条件反射で唇をつぐんだ私は、自分のポテトを隆二さんの方に滑らせた。
「なに?食わないの?」
「うん。何か胸がいっぱいになってしまって……」
「もう?まだあるのに。計画」
「え!?」
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2019年1月14日 17時