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ティファニーブルーの鮮やかな箱を、私はテーブルの上に滑らせた。
「お誕生日、おめでとうございます」
隆二さんはまばたき1つしないで箱を手に取り、
「えぇえぇ〜!何で〜!?」
と、笑いながら天井を扇いだ。
「何で?何で知ってんの!?これ欲しがってたの何で知ってんの!?」
「ふふっ。あ!でも中身違ったら怖いから早く開けて開けて!」
「やべぇー、ドキドキするわ」
私もドキドキします。
隆二さんがリボンをほどき、箱を開けた────。
「……いやぁ、まじで何で……」
「あってます!?それですよね!?」
「あってる……まじで何で!?俺ちょっと怖いんだけど!」
心臓の辺りをさすりながら、隆二さんが真顔になる。
「こ、怖がらないで下さいよ!臣くんに協力してもらいました」
「臣!?何かそれはそれで怖い!」
「なんで!」
隆二さんは「うそうそ」と笑い、昨日臣くんとバッタリ会えてティファニーに行った話を目を細めて聞いてくれた。
「臣くんと会わなかったら絶対分かりませんでした。隆二さんは何も要らないって言ったけど、私が何かしたくて……わがままに付き合ってもらったんです」
「そっかぁ……」
隆二さんが、手のひらに広げたネックレス。
ゴールドのリンクネックレス。
隆二さんとティファニーが結び付かなかった私も、このネックレスを店頭で見て納得。
シンプルなデザインは、彼の肩から胸にかけてのラインをより美しく見せてくれるはず。
「ありがとう。結構……したでしょ」
“ううん”と首を振り、私は笑顔を向ける。
「これマジで欲しかったやつで……Aから貰って余計に嬉しい。ありがとう。いやぁ、やばいな……もう……付けまーす」
隆二さんが首に手を回し、私はサッと鏡を用意した。
「どお?」
「似合う……!隆二さん!似合う!思ったよりすっごい似合う!」
「どう思ってたんだよ!」
「似合うと思ってたけど想像以上ってことです!」
鼻息荒く話す私の目の前で、隆二さんは少し顎を上げ鏡を見た。
「……Aぶらさげてる感じ」
「えっ……」
「付けてるとき、Aと一緒」
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2019年1月14日 17時