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────映像の中には、私の知らない隆二さんがいっぱい居た。
指でつまめそうな位の小ささで観たライヴでは分からなかった表情のひとつひとつ。
切なそうな顔も、思いっきり笑ってる顔も、真剣な顔も
私が知らない隆二さんがそこに居た。
音楽が好きで、歌うことが好きで、その思いを全身で表現しようとする人。
夢とか希望とか光とか……ポジティブな言葉がよく似合う人。
私には、とても眩しい人。
「目がハートになってるよ」
純奈に目の前で指を鳴らされ、私は催眠術から解けたようにハッと我に帰った。
「ハ、ハートになってた？」
「なってた。“福岡で抱かれときゃ良かった”ってほっぺに書いてあるし」
「書いてないよ！」
純奈は笑い声を上げブックレットをパラパラと捲った。
「ねぇねぇ！この人健二郎っていうんだって！健太郎の弟、健二郎っていうの！」
「そうなの！？」
「うん。何か親近感」
「あ、ねぇねぇ岩ちゃんってどの人？」
「岩ちゃん？あ、この人！」
「あ！この人なんだ！？」
岩ちゃんは、顔が出来すぎだと思った。
無駄な線が１本もない設計図みたいに綺麗。
「隆二さんがね、陽ちゃんと岩ちゃん似てるって」
「陽ちゃんと？」
コロナの瓶が2本、4本、6本と増えて夜がふけてきても、私たちの観賞会は終わらなかった。
明日の朝、私の瞳は本当に
ハート型になってるかも。
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12月25日
岩ちゃんに、男性ホルモンをあと２滴垂らすと陽ちゃんになる(純奈談)
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作者名：ぽち。
| 作成日時：2018年7月24日 22時
