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「……Aちゃん、好きな人出来たの？」
くっきりした目元を寒さで細めた陽ちゃんが「でしょ？」私に笑いかけた。
「……うん、出来た。でも何で好きになったか分からなくて……それって本当に好きなのかな？とか考えてる」
「それで良いじゃん」
「え？」
「好きだから考えちゃうんでしょ。考えちゃうってことは好きなんでしょ」
「………あぁ！あぁ！そうか！」
「な、なんだよデカイ声出して」
「陽ちゃん流石！」
とっても美味しくて繊細なお出汁を作るだけある。
「そうかぁ、好きだから考えるんだよねぇ……」
「そう。その人のことばっかり考えたらそれは恋。理由なんかあとから分かる」
船がお台場に到着し、陽ちゃんに何度もお礼を言って彼とは駅で別れた。
やっぱり煮詰まったときは船が一番。
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「ただいまー」
「おかえりー！」
リビングから飛び出してきた純奈が私の手元を見て「何買ってきたの？」と首をかしげた。
「駅前のTSUTAYA寄って三代目関連の物買えるだけ買ってきた！」
「はぁ！？」
ヒールを脱ぎながら答えた私の肩を、純奈が強く掴む。
「どうしたの！？さっきまで煮詰まってたくせに！」
「船で解決した！で、もっと知りたいと思った。隆二さんのこと」
プライベートなところは会わないと分からないけれど、彼がどんな歌を唄って、どんな人たちと音を作り上げているのか、
それは作品を聴いたり観たりすれば知ることが出来る。
「コロナも買ってきたから……純奈も一緒にDVD観ない？」
「観る！観る観る！」
「観よ！観よ観よ！」
私たちは簡単な夕食を作り、コロナをワインクーラーに入れて、それをリビングテーブルに並べた。
「よしよーし！どっちから観る？」
「時系列で観よっか」
ディスクをセットしソファに座り、純奈がリモコンの“再生”ボタンを押す。
「スタートッ！」
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作者名：ぽち。
| 作成日時：2018年7月24日 22時
