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「そうそう。俺と一緒に居て疑われたら悪いなぁと思って。彼氏の店に行くなら大丈夫じゃん？」
そういう意味の“大丈夫”だったのか……。
「何か……気ぃ使わせちゃいましたね。すみません」
「あー全然。でも、陽ちゃんじゃない彼氏が怒らない？大丈夫？」
「大丈夫です……居ないので」
居たら、1人でイルミネーションを観に行ったりしない。
「へぇ……そうなんだ」
凄くどうでも良いような返事をして、隆二さんは席を立った。
「ちょっとトイレ」
「あ、はい」
私は、部屋を出ていく隆二さんの背中をそっと盗み見た。
Tシャツの上からでも形がはっきり分かる肩甲骨。
歩く度にTシャツの中で動くそれが、
羽みたいに見えた。
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「すみません、ご馳走してもらっちゃって」
「良いよ良いよ。俺が誘ったんだし」
食事代は、隆二さんが全て払ってくれた。
私も財布を出して“払います！”と粘ったけど“こういう日は男が払う方がカッコいいよね”と言うシェフの言葉に渋々財布を引っ込めた。
「どっちの方向に帰んの？車呼ぼっか」
「あっ私、歩いて帰ります」
「歩いて……え？“ここに住んでます”って、この近所に住んでますって意味！？」
「は、はい」
「そうなんだー……近いの？」
「15分くらい……です」
「へぇー」
どちらからともなく歩き出した私たち。
「隆二さんはタクシーですよね。そこの通りまで出ますか？」
「うん、そうする」
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作者名：ぽち。
| 作成日時：2018年7月24日 22時
