No.1510。 (ページ19)

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「私が危ない人だったらどうするんですか……」

“……そうっすね”

「……はい」

“……また、連絡します”

「えっ！？」

電話は、そこで切れた。

真っ黒になった画面を暫く眺めたあと、

「……ヤバイ！」

私は携帯を握り締め、リビングを挟んだ向こうにある純奈の部屋のドアをノックした。

「純奈！起きてる！？」

「はーい？」

ドアを開けた純奈はシートパックの真っ最中で、唇をあまり動かさず「どぅーしたの？」と私に訊ねた。

「で、電話かかってきた！」

「誰から？」

「右の人！」

「……いやぁ、それ夢じゃない？番号教えてないのにかかってこないって」

「紙！」

「え？」

「私が番号書いた紙！ゴミ箱から拾ったんだって！」

「……なんですって！？」

純奈はパックを剥がし、それをゴミ箱に放り投げた。

「どういうこと！？」

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「───それで……また連絡しますって」

私は純奈の部屋のソファに座り、目の前を行ったり来たりしている彼女を目で追う。

「純奈どう思う？私のこと、からかってるんだよね……隆二さん」

「んー……」

純奈はアゴを掻きながら目を細めた。

考え事をしている時の彼女の癖。

純奈が会社でこの仕草をしているときは話しかけないようにしている。

「……からかうにしちゃあさ……リスキーじゃない？」

「リスキー？」

「右の人はAが関係者とか業界の人じゃないって分かってて電話してきたんだよね？」

「うん」

「そこをからかうかなぁ？そういう遊びを楽しみたい時にファンを選ぶのはリスキーでしょ。一番やっちゃいけない相手だもん」

「でも……隆二さんそういう人かもよ？」

「ハイリスク大好き人間？まさか」

“まさか”だけど、本当のところの彼を知らないから、その“まさか”もあるんじゃないかと思ってしまう。