No.1510。 (ページ18)

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動揺。ページ18

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────真っ暗な部屋と、タイマーを点滅させているヒーター。

突然の電話に跳ね上がった心臓と、電話越しの隆二さんの声。

「私、ゴミ箱の目立つところに捨てちゃってましたか……」

“いや、たまたま目に入って……”

そっか……自分が泊まった部屋のゴミ箱に捨てた覚えのないものがあったら気になるよね。

「あの……言い出すタイミングがなくて。私、イベンターさんでも何でもないんです。昨日は、」

“知ってます”

「え？」

“知ってます。今日、Aさんっていう人はどこの会社の人なのかスタッフとかみんなに聞いたんだけど、誰も知らなかった”

私は目を閉じて、唇を少し噛んだ。

“関係者なのに誰も知らないなんて、ありえないから”

「すみません……勝手に打ち上げに潜り込んだわけじゃないんです。知り合いの方に呼んでもらって……すみません」

“別に謝らなくても”

「いえ……謝らないと。私、昨日ライヴに行ってました。お客さんとして」

そこで、プツッと会話が途切れた。

隆二さんが黙り込むのも仕方ない。

ライヴに来てた人間が打ち上げに参加してて、おまけにそのことを黙ったまま自分の部屋に入ったんだから。

私なら今すぐ電話を切って、明日の朝一番で携帯番号の変更手続きをする。

そのくらい、私のしたことは“ヤバイ”

「すみませんでした本当に……隆二さんのこの番号、消します。私から電話したりしません。不安だったら私の番号、着信拒否して下さい」

“……それ、もう電話しちゃいけないってこと？”

窓の外で木が擦れる音がした。

私の心みたいに、小さな揺れを感じてザワザワ言ってる。

「しちゃいけないって言うか……普通、しないですよね……」

“どうして？”

これは、からかわれてるんだろうか。

隆二さんの後ろには実は業界の人とか居て、クスクス笑ってるんじゃないだろうか。

「……私、お客さんですよ。そんな人と連絡取っちゃダメですよね」

“でも……楽しかったから昨日。また話したいと思って”

この言葉を額面通りに受け取って……良い訳がない。