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“右の人に彼女居ないと思う”
だとしても、私には関係のないこと。
隆二さんは、ライヴに出てた人。
その帰りに偶然タクシーに乗り合わせて、偶然好きな音楽が一緒で、
偶然、盛り上がって朝までお話しただけの人だから。
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お風呂を出て、自分の部屋のベッドに座り髪を乾かしながら、私は窓の外を見た。
ベッド際の壁にくり抜かれた、はめ殺し丸い窓。
そこにぽっかりと夜が浮かんでいた。
夜になると、この窓は鏡みたいになる。
そこに映る自分を見ながら、私は大きく深呼吸をした。
「寝るか……」
間接照明を消してベッドに潜り込む。
明日は、少し早めに起きないといけないから……
携帯のアラームをセットしていると、
画面にパッと知らない番号が表示された。
仕事上、登録してない番号からかかってくるのはしょっちゅう。
こういう時間、みんな自宅で仕事を片付けていて“あっ”と気付いたことをプライベート用の携帯で電話をしてくるからだ。
「トラブルじゃないと良いなぁ……」
私は“応答”のボタンを押して、寝転んだまま携帯を耳に当てた。
「もしもし？」
“あ、もしもし”
そう言ったきり、電話の向こうから何の声も聞こえなくなった。
「……もしもし？どちら様ですか」
“俺、です”
俺……
「……あっ」
────立ったまま電話に出ていたら、私は間違いなく携帯を手から滑らせていただろう。
「隆二……さん」
“はい”
一晩中聞いていた、あの声だ。
「何で……私の番号」
だって、あの紙は……
「……クシャクシャにしたのに……連絡とか、しない方が良いと思って……」
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“……だったら、部屋のゴミ箱なんかに捨てなきゃ良かったじゃん”
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12月15日
ゴミは持ち帰りましょう。
思い出と一緒に。
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作者名：ぽち。
| 作成日時：2018年7月24日 22時
