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「次の日、隆二さんは仕事に行って私は海に行った。で、知らない人にこの写真を撮ってもらった」
「……あとでこの水着の写真頂戴」
「もう!真面目に聞いて!」
「聞いてるよ!はい、次は?」
「んと、次は……夕方から二人でご飯に行きました。私がアメリカンダイナーみたいなとこが良いってリクエストしてて、隆二さんが予約してくれてた」
「うん、あってる。そのとき何色のワンピース着たか覚えてる?」
「黒!」
「正解」
「やった!」
喜ぶ彼女の腰を抱き、俺はテーブルに肘をついた。
きっと、彼女は全部覚えてる。
抜け落ちてたマグの記憶もしっかり思い出したんだから。
「本当は夕日を見ながら食べるはずだったのに、私たちはポテトの量についてディスカッションしてて、肝心の夕日を見逃しました」
「そう。Aが大きいサイズ頼んだから」
「あの時はごめんね……」
「もう良いって!はい次は?」
「次は、そのあとにサンタモニカ・ピアに行きました。パシフィックパークって遊園地で観覧車に乗った」
「うん」
窓のない観覧車に、Aは怖がってた。
あの観覧車は8ドルで、降りてからAの気分を休めるために、近くの店でソーダを買った。
水族館が閉まってたことに彼女はガッカリしてて、おもちゃみたいな貝殻のネックレスが並ぶ店を眺めてて……
欲しいの?って聞いたら彼女は“ううん”って首を振って、その耳元で小さなダイヤが付いたピアスが揺れていた。
彼女が思い出を語る度、俺の頭の中にも鮮明に甦ってくる。
「私、水族館に行きたがってた。で、ネックレスを見てた」
「そう!」
「ですよね!?覚えてるじゃん私!」
「うん、しっかりと」
「良かった……あ、サンタモニカ・ピアの思い出は以上です」
「了解です」
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2018年5月23日 18時