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二人の地図を。side R ページ6






Aが広げた模造紙には大きく“Travel Map”とタイトルが打たれ、LAの地図が描いてあった。









「旅行の時に撮ったままだった写真をプリントアウトして、順番にまとめてみたんです」









「病院帰ってきてから!?」









「うん」









「よくこんなに……」









マーカーや色鉛筆を使ってカラフルに描かれたそれには何枚も写真が貼られ、几帳面そうな字でコメントが書き込まれていた。









「私が覚えてる限りお話するので、違うところあったら隆二さんが教えてくれますか」









「うん、分かった。あ、座って。飲み物取ってくる」









俺は冷蔵庫からリンゴジュースを取りだし、グラスに注いでテーブルの端に置く。









「よし、じゃあ始めよ」









「はい」









珍しく寒色のネイビーのトップスを着ている彼女が、袖をグッと捲り上げた。









「えっと、まず……ホテル」









いつの間に撮っていたのか、彼女は泊まっていたホテルのロビーの写真を指さした。









「ホテルの場所はサンタモニカ。海が見えるバルコニーがありました。私はここで隆二さんと待ち合わせをして、隆二さんが私にナンパしてきた」









「そう。綺麗だったからね」









彼女は照れ笑いを浮かべ、指をハリウッドへと滑らす。









「隆二さんは仕事に行って、私は勝手にバスツアーでユニバに行って、そこでマグを買った……シンプソンズの」









「うん、そう」









「私、何でこれを選んだか思い出しました」









「え?」









「バスの出発が迫ってて、でも隆二さんに何か買って行きたくて、ショップの中で一番目立ってたマグを選んだんです」









「それ、思い出したの……?」









「うん……ひょっとしたら勝手に自分でストーリー作っちゃってるかもしれないけど、でも私が買ったのは思い出しました」









俺を見つめる彼女の笑顔には、確かな自信があった。









「すごいじゃん。ちゃんと思い出してる」









「うん」









嬉しそうに頷いた彼女は、次にビーチの写真を指さした。

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作者名:ぽち。 | 作成日時:2018年5月23日 18時

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