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「すごいなぁ……」
体の向きをあちこち変えながら部屋中を見て回る私の背中に、
「おかえり」
隆二さんの声が聞こえた。
「隆二さん!なにこれ!すごい!」
「気に入った?」
ニコニコしながらハグしてくれた隆二さんに、私は満面の笑みで返事をする。
「気に入りすぎ!すっごく可愛いし綺麗!……また私の語彙力どっか行っちゃった」
隆二さんは笑い声を上げ、私の腕を撫でた。
「ずっと病室に居たから帰ってきたときは華やかな感じにしてあげたいなぁと思ってて……でもやりすぎ?」
「ううん!嬉しい!……隆二さん1人でやったの?」
「そう。四季に手伝って貰おうかと思ったんだけど、何かそれも恥ずかしくて」
照れ笑いする彼を私はただ黙って見つめた。
どうしてこんなに優しくて、どうしてこんなに好きにさせちゃうんだろう。
私は心配をかけてばかりで、隆二さん1人のほうがずっと気楽なはずなのに
どうして私を好きでいてくれるの。
「……な、泣いてる!?」
「だって、何かしてあげなきゃいけないのは私の方なのに……こ、こんな模造紙持って来ちゃって!バカみたい私!」
「バカじゃないバカじゃない!んで、その模造紙どうした!?何!?」
「こ、これはね───」
隆二さんに涙を拭かれながら、私はテーブルの上に、丸めていた模造紙を広げて見せた。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2018年5月23日 18時