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5 side T ページ19






「どうしてそう思うんですか?」









「だって、子供がして欲しいこと良く分かってる。寂しい気持ちも分かってるから」









四季が寝返りをうって、俺の方を向いた。









「ありがとう、そう言ってくれて……岩田さんも良いお父さんになりそう」









「……俺はその前に良い彼氏にならないと。“忙しい彼氏”じゃなくてね」









「……もうなってる。酔った私の話、聞いてくれてるもん。良い彼氏ですよ、岩田さん」









「それなら良いけど」









指でそっと髪をとかすと、四季はフニャッとした笑顔になった。









「ねぇ、四季のお父さんとお母さんは仲良い?」









「すごく良い!それが不思議。昔からお互い時間が不規則で病室でも家でもすれ違いなはずだったのに……どこでコミニュケーション取ってたんだろ」









「どこだろ?分かんないけど俺らは取り敢えず今からコミニュケーションを取る」









四季を羽交い締めみたいに抱きすくめ、頬や首にキスをすると彼女は「だめだめ!」と身をよじった。









「なんで!」









「だって今日、猫のパンツはいてるもん」









「……猫……あぁ!そのことか!何だよそれ、ちょっと見せて」









「やだって!」









四季は笑い声をあげ、俺の腕から逃げようとする。









「ちょっ、見せろ!」









「やだって!」









「しっ!騒いだらAに迷惑じゃん!だからじっとしろ!」









「やめてやめて!」









笑い転げて、じゃれあいながら、今夜会いに来て良かったと心の底から思ってた。









二人が今の二人になってどれくらい経ったかな?









あの頃と変わらないのは、









彼女に癒されてること。









俺が彼女を好きなこと。









これだけは、あの頃と変わらない。









これからもきっと変わらないし、









変えたくないもの────。









「四季、何か甘い匂いする」









「マフィンの匂いかも。岩田さんも食べる?」









「うん。明日の朝に」

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作者名:ぽち。 | 作成日時:2018年5月23日 18時

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