雪椿の頃。10 (ページ15)

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二人の絆。ページ15

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四季が部屋に訪ねてきたのは、丁度料理が出来上がったタイミングだった。

湯上がりのしっとりした香りのする四季をテーブルの前に座らせ、私は料理をそこに並べる。

「付け合わせグリーンピースにしちゃった。大丈夫？」

「大丈夫大丈夫！あー良い匂いする」

「美味しいと良いんだけど」

二人で手を合わせ、切り分けたポットローストを四季のお皿に盛り付けた。

「いただきまーす！」

「どうぞー！」

「ん！美味しい！お肉柔らかい！」

「本当？良かった。四季に喜んでもらえると嬉しいな」

「A良いよね。料理好きで」

「好きじゃないよ？」

「え？」

四季のフォークから、グリーンピースがこぼれ落ちる。

「好きじゃない。メニュー考えて、買い物行って、作って洗い物して、余った食材の使い道考えて……正直めんどくさい」

「意外……」

「でも食べるのは好きだから。それに、家で作るとこうやってお互い素っぴんでダラダラしながら食べられる」

四季は笑って頷いて、私はノンアルコールのワインを喉に流し込んだ。

「あ、そう言えばうちの母がAに会いたがってた」

「私に？四季のお母さんは……何科だっけ」

「形成外科」

「……私、どっか悪いの？」

「違う違う！Aの顔の骨格、絶対左右対称だから自分で確認したいんだって。“良い！”って褒めてたよ」

「え！」

骨格を褒められたのは初めてだったけど、表面的な容姿を褒められるよりずっと嬉しい。

“目が綺麗だね”と言われるより“眼窩のくぼみが綺麗だね”って言われた方が……ときめく。

「ねぇねぇ、Aのお母さんは何してる人？」

「うち？うちはパート。私が中学に上がるまでは専業主婦だったよ？」

「そうなんだ……Aは結婚して子供生まれたら家に居たい？働く？」

「働く！そんなバリバリ働くわけじゃなくても、外には出たいな！」

「そっかぁ。私は家に居たい」

「意外……」