雪椿の頃。10 (ページ40)

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「ねぇねぇ、このあと椿姫はどうなるの？」

岩田さんの質問に、四季は「え？」と、ちょっとビックリしたような顔をした。

「岩田さん、あらすじ見ないで来たんですか？」

「うん」

「大体の流れ知っとかなきゃダメですよー！字幕ばっかり追うことになっちゃう！」

「何だよそれ。先に言ってくれよ四季」

「仕方ないよ、岩ちゃん忙しいし」

珍しく、隆二さんが岩田さんに助け船を出した。

「忙しいから中々四季とも会えないんだもんなぁ？」

「そーそー。隆二さん分かってくれてる。だから俺にあらすじ読む時間なんてないの」

「そーそー。だから事務所の仮眠室で四季とあんなことやこんなことしてるんだもんなぁ？」

────え？

パッと四季を見たら、彼女は思いっきり私から目を逸らした。

……してるんだ、あんなことやこんなこと。

「何で隆二さんそんなこと知ってるんだよ！見たな！？」

「見てませーん！適当に言ったら岩ちゃんが引っ掛かったんですー！」

「くそー！」

「すごいな岩ちゃん。大胆」

臣さんに突っ込まれた岩田さんが「そっちこそ」と言い返す。

「トミとどうするわけ？臣さん」

「うるせぇなぁ！トミの前髪次第だよ！見てみろ！このパッツン！」

みんなが一斉にトミちゃんを見たせいで、彼女はまた、手で前髪を撫で付けた。

トミちゃんの前髪がどうなったら二人がどうなるのか分からないけど、

前に進む予定があるのは確か。

「あの、まだ時間ありますよね？ケーキ食べたいです私」

トミちゃんがそう言うと、みんな“スイーツ神経”が刺激されたみたいで、同時にメニューを広げた。

それぞれ頼んだケーキが運ばれてきてからは、くだらないことで笑い声を上げたり真面目な話で顔を付き合わせたり。

私の“当たりが強い先輩問題”については“期待してるからじゃないか？”と結論付けられたけど、納得出来るような……出来ないような……。

「あ！あと10分で始まる！早く食べなきゃ！」

ケーキを食べながら、私はみんなのことを見渡した。