雪椿の頃。10 (ページ17)

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私は四季を隣の部屋に連れていき、ベッドに彼女を寝かせた。

「四季の部屋、西海岸ぽくて可愛いね」

「ありがとー……Aー愛してる」

「私もー。今日は楽しかったね。ご飯いっぱい食べてくれてありがとう、おやすみ」

「うーん……」

寝返りをうった四季にシーツをかけ、余ったマフィンを冷蔵庫に入れて玄関からそーっと出ると、廊下で「お？」と聞き慣れた声がした。

「あ、岩田さん！」

「あれ？四季は？」

「寝てます」

「……酔って？」

「まぁまぁ……でもベロベロじゃないです」

「そっかぁ」

「四季に会いに来てくれたんですか？」

「うん」

岩田さんは少し疲れが見える笑顔で、手に持っている紙袋を持ち上げた。

「四季と二人で飲もうと思ってカフェオレ買ってきたんだけどなぁ」

その声に微かな労りがあって、私の気持ちは嬉しくなる。

「へ、部屋上がってください！四季、きっと喜ぶ」

私は自分の部屋でもないのに、閉めたばかりの玄関を開け、岩田さんに中に入るように促した。

「え？でも寝てんでしょ？」

「良いから！寝てても良いから上がってください！」

「お、押すなよ！」

「早く入って！」

「待て待て！カフェオレやるよ！ほら！」

「ありがとうございまーす！」

私は岩田さんを玄関に捩じ込むように押して、「じゃあ！」とドアを閉めた。

「うん！これでよし！」