雪椿の頃。9 (ページ18)

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闘うとき。ページ18

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「脳腫瘍は正常な脳細胞ではない不要な異物ですから、手術で取り除くのが最も合理的な方法です。脳は頭蓋骨という容器の中に入っていますので、脳腫瘍がどんどん大きくなってしまうと、正常な脳の行き場がなくなり圧迫されて様々な症状が出現してきます」

「その症状が、私にはもう出てるかもしれないんですね」

「それも、もう少し検査してみましょう」

「良性なら手術で摘出すれば大丈夫なんですよね」

「脳腫瘍を完全に摘出することが難しい場合もあります。完全に摘出しようとすると、周囲の正常な脳や神経組織を犠牲にしてしまうことがありますし、解剖学的に全摘出が不可能な場合もあります────」

先生があまりにポーカーフェイスで、自分の話をされてる感覚がなかった。

なかったけど……

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────「A？……A？」

四季に肩を叩かれ、私はハッと我に返った。

「な、なに？どうした？」

「マフィン……もう焼けてるんじゃないかなぁって」

「あ……本当だ。今、取り出すね」

「……大丈夫？」

「うん、大丈夫。四季座ってなよ！四季の引っ越し祝いなんだから！」

「うん……」

テーブルの方に向かった四季を見て、私は深く息を吐いた。

今日、みんなが部屋に集まってて良かった。

一人だったら……耐えられない。

「私のポテト残しといて下さいよ！」

盛り上がっているみんなに声をかけ、私はマフィンを冷ますためにカウンターに並べる。

「よしっ、オッケー」

エプロンを外し、ギュウギュウなテーブルの前に腰を下ろした。

「A、グラス」

隣の隆二さんが私にグラスを手渡し、そこにリンゴジュースを注ぐ。

「あれ？私はお酒飲んじゃダメなんですか？」

「お酒の方が良かった？何か体調悪そうだからこっちの方が良いのかなと思って」

「そっか、ありがとうございます」

隆二さんには、お見通しだ。

「仲良いですよね、Aさんと今市さん」