雪椿の頃。7 (ページ4)

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「……☆さんって、彼氏居るんでしょうか」

「……居るんじゃん？」

俺は笑いそうになる口元を手で隠した。

「ですよねー！私の彼氏と違ってかっこいいんだろーなー」

「かっこいいと思うよー？何？トミの彼氏かっこよくないの？」

「ないですよ」

「男は顔じゃないよ？」

「顔ですよ。歯ですよ」

「歯？」

何この子。おもしろ。

「見てみたいなぁ、☆さんの彼氏。登坂さんに勝ってる人ですもんね」

「………臣に勝ってる？」

「あ、すみません……勝ち負けじゃないですよね。こういう、思ったことすぐに言うとこがダメなんですよね、私」

「いや、待って。何で臣が負けたことになるの」

「だって……☆さん振ったって登坂さんのこと」

「……は？」

「☆さんと登坂さんのことを四季さんと岩田さんが廊下でお話してるの聞こえたことがあって。えっと……そう！☆さんが網走行ってた日です」

「網走って……あの日かぁ……」

「ご存知なかったですか？」

「なかったですけど」

俺を見るトミの表情が、みるみる強張っていく。

「………あの……メンバーの中で周知のことかと……」

「四季と岩ちゃんが話してたんだな？」

「………私の彼氏、前歯ないんですよー」

「おーおーおー！あからさまに話し逸らしたなー」

ピリッとした雰囲気の中、何も知らない岩ちゃんがフロアに入ってきた。

「あ、隆二さん。ボンジュール！」

────は？

「隆二さん聞いたよー？フランス映画観たんだってー？俺も最近見たんだよ」

「おい」

「可愛い子と観たんだよー。“ひまわり”っていう───」

「おい！」

「なに？」

「ひまわりみたいなアホ面のお前に聞きたいことあんだけど」

「アホ面？お前？え？」