雪椿の頃。7 (ページ27)

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「髪も肌もいつも綺麗で、手をかけてるの分かるしさ……そういうの取り繕ってるって言わないって」

「隆二さん……」

「ん？」

「隆二さんは……私が見てて欲しいとこ全部見てくれてるんですね」

「当たり前じゃん。必死だもん、俺がAを見落としてた時間取り戻すの」

隆二さんは、笑顔でそう言った。

こういうときの隆二さんの笑顔が私はたまらなく好きで、思わず彼の腰にしがみついた。

「私が変わろうと思った日のこと、今まで誰にも言ったことなかった」

「本当に？」

「うん」

「何で俺に言おうと思ったの？」

「隆二さんには、知って欲しいことだったからかな……」

きっと、隆二さんに出会って、私はまた変わり始めてる。

この胸の中の小さな小さな引っ掻き傷。

剥がせないかさぶたがくっついたままだった引っ掻き傷。

それを見せられるあなたは、

私にとって本物の人だから。