醒めない恋。 ページ38
・
.
.
.
.
.
.
「四季じゃないの?」
“違うよ?”
夜になってから、ベッドの中で四季にリンゴジュースのお礼の電話をしたら“私じゃない”と言われた。
「本当に四季じゃないの?」
“うん。新幹線の時間が微妙で寄れなかったんだもん”
「そうなんだ……じゃあ、誰が……」
“Aのファンとか”
「ファン!?」
“飲むのやめときなー?変なもん入ってたら怖いよ”
「だよね……誰からか分かるまで取り敢えず冷蔵庫入れとく……あ、どう?そっちは?仕事大変だった?」
“色々まわって今ホテル着いたとこ。Aこそどうよ、熱は”
「あんまり。夕方からまた上がっちゃって……」
“やばいと思ったら誰か呼びなよ?”
「うん」
“じゃあもう寝な!寝な寝な!おやすみ!”
ブチッと電話を切られ、私は無音になった携帯に向かって「四季ぃー……」と嘆いた。
病気のとき、心細いせいか誰かと話していると元気になった気がする。
ただ、気がするだけで一人になればまたダルくなる。
「しんど……」
携帯を放り投げ目をつぶり、暫くして眠りに落ちそうになった頃────
ピーンポーンとインターホンが鳴った。
「誰ぇ……」
よっこいしょと体を起こして玄関に向かい、ドアスコープを覗く。
「……え」
ドアの向こうには、隆二さんが居た。
818人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「登坂広臣」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぽち。 | 作成日時:2018年1月21日 17時