2 side T ページ35
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例えば傘のこと、吸入器のこと………
隆二さんは世間話のつもりだったかもしれないけど、彼女にはそう聞こえなかったのかも。
「でもさぁ岩ちゃん。その話聞いて“色目”とか“誘ってる”なんてワード出る?普通は“頑張り屋さんだねー”とかじゃない?」
「……自分がそうだからだろ。白ニットは好きな男に良く見られたい時だけ“頑張り屋さん”になるんじゃない?だからAのこともそんな風に考えるんだよ」
白ニットは色々計算しても、途中の式がめちゃくちゃなタイプ。
結論ありきで考えるから、途中で理屈的に無理が生じる。
だから、答えが美しくない。
「隆二さんはAのことじゃなくても仲間のことそんな風に言う人のこと、凄く嫌だと思うよ。もう、終焉だな」
「ふーん……」
相手があるがままに振る舞ってる姿を認められるのが愛情。
何か許せないことがあったんだとしたら、そこにはもう愛情なんかない。
「………もうすぐか、Aと隆二くっつくの」
「………臣さん」
「何?」
「大事なこと忘れてない?隆二さんはAから好かれてるって知らないんだよ?」
「………あぁ!そうか!」
だからって俺たちが隆二さんに言う話でもないし。
でもAもモジモジしてるしなぁ……。
ゴチャゴチャ考えていると───
「なにそれ?」
俺と臣さんの頭の上から声が降ってきた。
「「あ?」」
二人揃って顔を上げると、隆二さんが俺らを見下ろしている。
「なにそれ。誰のインスタ」
「「………」」
────やべぇ。
「これは……」
「愛ちゃんの」
臣さんがそこそこの声の大きさでそう言って、隆二さんに微笑んだ。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2018年1月21日 17時