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「本当?でも輪郭はお父さんかなぁ……二人の良いとこ貰ったんだね」
隆二さんが優しく笑う。
「でね、そんな私の小さい頃がこれ」
「え!?これ!?可愛くない!?」
「意外そうに言わないで下さいよー」
「いやいや、ちょっと可愛すぎるなと思って」
隆二さんは年賀状を手に持って「へぇー」と目尻を下げた。
「良かったね、写真まで貰えて。俺も小さい頃のA見れて嬉しい」
こういう時の隆二さんは、いつにも増して優しい笑顔をしている。
そして、その笑顔に私はいつも心をほぐされている。
「Aお腹は?何か食べる?昼食べないまんまだったでしょ?」
「うん、えっと、どうしようかな」
私はメニューの中から雑穀米のオムライスを選んだ。
「飲み物は?」
「………ミルク」
「え?」
隆二さんが聞き返すのも無理はない。
私の嫌いなもの第一位は牛乳だから。
「ミルクにする。牛乳って体に良いんだって。だから……好き嫌いしないで飲む」
「どうしたの?」
「好き嫌いしないようにって言ったの隆二さんでしょ」
「そうだけど……まぁ良いや」
運ばれてきたオムライスを完食した私は、鼻を摘まんで頑張ってミルクを飲んだけれど、半分でリタイアした。
残りの半分を「しょうがないなぁ」と飲んだ隆二さんは「でも頑張りました」と私の頭を撫でた。
「どうする?真っ直ぐ帰るのも勿体ないよね」
「海……」
「ん?」
「海、行きたいです」
.
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.
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.
「波たけぇな!」
その日の海は、穏やかとは言い難いものだった。
でも、風は気持ち良かったし素足に触れる砂の感触も心地良い。
何よりこの波の高さ。
浜辺は私たちで貸し切り。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2017年9月2日 14時