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何だ？と顔を上げるとリビングのカーテンを開け、隆二さんが手を振っていた。
「隆二さん」
彼の名前を口にするだけで、これでもかと言うくらい私の口角は上がる。
「おかえり」
隆二さんが窓を開け笑顔を見せた。
「ここでお出迎えされると思わなかったです」
「エンジンの音聞こえたからさぁ」
「そっか……あ、隆二さん！庭に植える木、見つけてきました」
「おー、見たい見たい」
急いで玄関に回り部屋に入ると、テーブルにはカタログらしき物が散らばっている。
「ん？………隆二さん、これ、ベッドのカタログ？」
「うん」
「え、買うんですか？」
「え？」
「え？」
私たちは探るようにお互いの瞳を見つめ合う。
「………ダブルとかクイーンとか買わないの？お互いが使ってるやつ、二人じゃ狭いじゃん」
「狭いですけど……」
「………あ！何！？狭いのが良いの！？くっつきたいんだー？なんだよー言えよー」
「違います」
「え？」
「え？」
私は軽く咳払いをして隆二さんの隣に座り込んだ。
「あの……私たちって生活リズムが違うじゃないですか？隆二さんは明け方に寝ることがあったり、私は夜明け前に起きることがあったり」
「うん」
「そういうときって、相手の気配で眠れなくなったり目が覚めちゃったりするんじゃないかなって……」
────隆二さんの表情が、スッと真顔になった。
「………え？俺は今、一緒に寝るの拒否られてんの？」
「寝室を別にするってことじゃないですよ！？ベッドは分けた方が良いんじゃないかなって。だから隆二さんが今使ってる……ベッドを……うちに……」
私が喋れば喋るほど、隆二さんの目が座っていくのは何故だろう。
「……ダメ……ですか？」
「………ないわー」
「ない！？そんな無茶なこと言ってますか私！？」
「だってさぁ、今まで一緒に寝てきたじゃん。何か問題あった？」
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作者名：ぽち。
| 作成日時：2017年9月2日 14時
