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「おい!A!あれ!」
「こ、今度は何ですか……」
隆二さんはハロウィン商品の後ろのクリスマスゾーンへ移動し、大きなツリーを眺め始めた。
「良いよなぁ大きいの……。なぁ?こう、いっぱい飾ってさぁ」
「ツリーは賛成ですけど、この大きさはちょっと部屋には無理じゃないかな……」
「んじゃ庭に置くか」
────隆二さんの脳内には、雪が降っているとしか思えない。
「に、庭に置いちゃいます!?雨風にさらされるツリーって聞いたことないなぁ!」
「じゃあ雨降ったらAが部屋に入れるようにすれば良いじゃん」
「私が!?いちいち!?何で!?」
「また“何で?”か……まったく」
いや、これは“何で?”でしょ。
そういう案件でしょ。
「あ!これは!?」
「もうやだぁ!」
「やだぁ!じゃないって。ほら、イルミネーションライトのコード。200球だって。ピカピカじゃん」
「うちにはピカピカさせる物ないですよ。こういうの庭木とかに飾るんでしょ?」
「じゃあ………木を植えるか」
「はぁ!?簡単に言わないで下さいよ!」
「んじゃ物置をピカピカさせるか」
「させない!絶対させない!させるもんですか!」
「もー!お前はどうしたいんだよ!」
「どうもしたくないですよ!隆二さんこそうちの庭どうするつもりなんですか!」
「んー………楽しくしたい」
………どうしてだろ。
今、凄く“価値観の相違”という言葉が頭を駆け巡っている。
………これがマリッジブルーってやつ?
違うな。
これはただの、
ブルー────。
でも、
「隆二さん、好きにして良いよ。でも片付けまでちゃんとしてね」
結局許しちゃうのは隆二さんが好きだから。
「家電買いに行ってもこんな感じだと思う?」
指でつついたパンプキンが“うんうん”と首を揺らして頷いた。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2017年9月2日 14時