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Come to me. ページ20






ギィー、ギィーと、庭の縁台から軋む音がしている。









膝を抱えて座っている私が、ゆっくり前後に揺れているせい。









縁台のネジも、どこか緩んでいるんだろう。









「ふ〜〜ん」









意味もなく声を出すと、板塀に止まっていたスズメがパタパタと慌てて飛び立った。









「はぁ」









今朝、隆二さんは私より早く起きて仕事に行った。









私は早めに仕事が終わり、そのまま直帰して良いと言われ、夕方のこんな時間に自宅の庭先でぼんやりしている。









夜、隆二さんが帰ってきたら一緒に住む話をするだろう。









私は、何て答えよう。









「ふ〜〜ん」









また意味もなく声を出すと、今度は私の携帯が鳴り出した。









「……もしもし?」









“あ、俺”









「岩ちゃん!!すっごい久しぶりじゃないですか!?」









“うん!すっごい久しぶり!………その電話に出る早さからいくと、今は家?”









「あ、はい。家です」









“ちょっとお邪魔して良い?”









「うちに?良いですけど………隆二さん居ないですよ?」









“いや、分かってるよ。隆二さんに会いたいときは隆二さんちに行くし”









「………で、ですよね!すみません」









“何かその感じだと二人はずっと一緒に居るみたいだねー?”









「いえ……そんな……」









照れて俯くと、電話の向こうで“着いた”と声がした。









「着いた?……あ!」









顔を上げると、さっきまでスズメが止まっていた板塀から、綺麗な顔がこちらを見ていた。









「着いたから門開けてー!」









どうやら岩ちゃんは、電話をしながらうちまで歩いていたらしい。









「ちょ、ちょっと待ってくださいね!」









隆二さんだけじゃなく、岩ちゃんも神出鬼没。









.









.









.









.









「お茶どうぞ」









“庭でぼーっとしたくて”と言って、縁台の上にあぐらをかいて座り込んだ岩ちゃんの膝の近くにグラスを置く。









「ありがとう。ごめんね、急に。この庭気持ちが良いから」









「うちの庭、何にもないのに?」

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作者名:ぽち。 | 作成日時:2017年9月2日 14時

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