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「いーよいーよ、スケジュールは遅くなってもさ。でも恋愛の出遅れは痛いぞ」
「………お説教ですか」
さっき四季にされたばかりなのに。
「説教じゃねぇけど。何で“片想いで良いです”なのかなぁって。あの雑誌の子、Aにとってはライバルじゃん?見てるだけで良いの?本当は昨日、隆二の隣にお前が座りたかったんじゃないの?」
臣さんは“だろ?”と首を傾げながら私の隣に腰を下ろした。
「……はい、隣に座りたかったです。でも彼女と話してる時の隆二さん凄く楽しそうだったから」
「え?」
「好きな人の笑ってる顔、邪魔したくないじゃないですか」
私が隣に座って戸惑いの表情を浮かべられるより、その方がずっと良い。
私は、隆二さんの白ニットにはなれないかもしれない…でも、好きだから少しでも傍にいたい。
幸い、好きな気持ちを諦めろとは言われていない。
隆二さんと両思いになれなくても、今ならずっと、少しだけ傍に居ることが出来る。
例え“視界に入っていない”その他大勢の一人だとしても。
「今のこの環境を大事にするには、隆二さんの幸せを大事にすることが一番なんです」
「……でも落ち込むんだろ?あの子と隆二が仲良さそうにしてたら」
「はい、落ち込みます。好きだから……落ち込みます。でも、落ち込んでる空気は隆二さんには見せません。絶対」
「……お前、いい女だな」
「えっ」
「俺の彼女になる?」
「えっ……」
「……アホか。真に受けんなよ、冗談だよ。俺は俺のことが好きな女が好きだからさー」
「そうですか。そりゃ選びたい放題ですね」
軽く笑った臣さんは、携帯の画面に表示されている時間を見て「昼飯行く?」と誘ってくれた。
「あ!私今日お弁当なんです!何だー、臣さんに奢ってもらえるって分かってたら作らなかったのに」
「奢らねぇよ!割り勘だよ割り勘!」
臣さんは立ち上がりながらダウンを羽織り、首もとまでジッパーを上げた。
「俺と喋るみたいに隆二と喋れば良いのに」
「………頑張ります」
「はい、頑張ってください。じゃあね」
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2017年12月23日 23時