検索窓
今日:90 hit、昨日:45 hit、合計:519,104 hit

4 ページ20







「いーよいーよ、スケジュールは遅くなってもさ。でも恋愛の出遅れは痛いぞ」









「………お説教ですか」









さっき四季にされたばかりなのに。









「説教じゃねぇけど。何で“片想いで良いです”なのかなぁって。あの雑誌の子、Aにとってはライバルじゃん?見てるだけで良いの?本当は昨日、隆二の隣にお前が座りたかったんじゃないの?」









臣さんは“だろ?”と首を傾げながら私の隣に腰を下ろした。









「……はい、隣に座りたかったです。でも彼女と話してる時の隆二さん凄く楽しそうだったから」









「え?」









「好きな人の笑ってる顔、邪魔したくないじゃないですか」









私が隣に座って戸惑いの表情を浮かべられるより、その方がずっと良い。









私は、隆二さんの白ニットにはなれないかもしれない…でも、好きだから少しでも傍にいたい。









幸い、好きな気持ちを諦めろとは言われていない。









隆二さんと両思いになれなくても、今ならずっと、少しだけ傍に居ることが出来る。









例え“視界に入っていない”その他大勢の一人だとしても。









「今のこの環境を大事にするには、隆二さんの幸せを大事にすることが一番なんです」









「……でも落ち込むんだろ?あの子と隆二が仲良さそうにしてたら」









「はい、落ち込みます。好きだから……落ち込みます。でも、落ち込んでる空気は隆二さんには見せません。絶対」









「……お前、いい女だな」









「えっ」









「俺の彼女になる?」









「えっ……」









「……アホか。真に受けんなよ、冗談だよ。俺は俺のことが好きな女が好きだからさー」









「そうですか。そりゃ選びたい放題ですね」









軽く笑った臣さんは、携帯の画面に表示されている時間を見て「昼飯行く?」と誘ってくれた。









「あ!私今日お弁当なんです!何だー、臣さんに奢ってもらえるって分かってたら作らなかったのに」









「奢らねぇよ!割り勘だよ割り勘!」









臣さんは立ち上がりながらダウンを羽織り、首もとまでジッパーを上げた。









「俺と喋るみたいに隆二と喋れば良いのに」









「………頑張ります」









「はい、頑張ってください。じゃあね」

5→←3



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (129 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1024人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ぽち。 | 作成日時:2017年12月23日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。