5 ページ16
・
───お化粧が上手になる度に、自分のその時の感情を隠すのが上手くなる。
「よし……」
リップスティックをポーチにしまいながらトイレから出た瞬間、
「痛っ!」
誰かと思いっきり肩がぶつかって、私は突き飛ばされるように2、3歩よろけた。
「すみません!前見てなく……て……」
振り向き様に謝ると、
そこには隆二さんが立っていた。
「あー!ごめんごめん!」
「い、いえ……」
「俺もボーッとしてて。大丈夫だった?怪我してない?」
「はい……」
“うん”と頷いた隆二さんが足を踏み出した時、
その足元から“パキッ”と乾いた音がした。
「え……」
隆二さんがゆっくりと左足を上げる。
「「あ……」」
そこには、ぶつかった弾みで私の手から落ちたリップスティックが
見るも無惨な姿で床にへばりついていた。
1024人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「芸能人」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぽち。 | 作成日時:2017年12月23日 23時