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そして、隆二さんと白ニットの後ろに回り込み、紙コップの中に飲み物を注ぎながら貞子も真っ青な下目使いで二人が見ている携帯を盗み見た。
「四季……顔が怖い……」
───暫くして、携帯の画面を確認し終えた四季が紙コップを2つ手にして階段を上ってきた。
「……何だった?隆二さんたち何見てた?」
「犬」
「へ?」
「犬の写真見てた」
「犬の写真?白ニットが飼ってるの?」
「そこまでは分かんなかったけど……。ん、リンゴジュース持ってきた。好きでしょ」
「おぉ!ありがとう!」
私たちはまたしゃがみこみ、リンゴジュースを一口飲んだ。
「仕事中に犬の写真見てんじゃないよねー?まったく。仕事をしろよ仕事を」
「四季ぃ、私たちも仕事中にジュース飲んで白ニット観察してる場合じゃないよ……」
「……そうだね。これ飲んだら下に降りよう」
ジュースをグイッと飲み干し、私たちは階段を降りた。
「四季、私先にお手洗い行ってくる」
「うん、分かった」
スタジオを出てすぐ角にあるトイレに入った私は、手を洗い何となく鏡に映る自分の顔を見た。
“お洒落系のやらしい漫画”
「それってどんなの……」
首を傾げ、自分の胸を鷲掴みにしてみる。
「私も揺らした方が良い?」
………いや、そんなんで隆二さんの注目を集めるくらいなら、いきなり変顔とかして“何だこいつ”って思われた方がマシだ。
「はぁ……」
溜め息をつくと、口角が下へとしなった。
化粧ポーチからアイブロウペンシルを取り出し、下唇の端に少しだけ影を作る。
その上から口紅を塗り直すと、しなっていた口角がキュッと持ち上がった。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2017年12月23日 23時