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「衣装……」
「裸になっても、まだ何かあるんじゃないか、まだ脱がし足りないって思わせる人のことじゃない?脱いだらすぐやっちゃえそうな女が醸し出してるのは、性」
「……納得した」
「うん」
力強く頷いた四季は「白ニットに下着の選び方教えてあげたら?サイズ合ってないから揺れるんだよ」と真顔で言った。
私が通う下着のお店にはインティメイトアドバイザーなる人が居て、完璧に合うサイズを見つけてくれる。
“お客様、揺れるということは将来垂れるってことなんです”
末恐ろしいあの台詞を思い出し、私は少し溜飲を下げた。
「あれはわざと揺らしてんのかなー?」
「かなー?」
「まぁ好きよねー、男の人」
「よねー」
卓球のラリーみたいな会話をしている私たちの後ろから
「なんの話してんの?」
臣さんがニュッと顔を出した。
「「臣さん!」」
私たちの話、どこから聞かれてたんだろう……。
「あ、あれー?臣さんいつ撮影終わったんですかー?」
「えー?さっき。お前ら二人は何してんの?下から見てると柵に入れられた動物みたいだよ」
その言葉に、私たちは掴んでいた手すりからパッと手を離した。
「どうせあの子見てたんだろ?」
臣さんは遠慮のない人差し指を白ニットに向ける。
「何であの子なんだろねー。俺にはよく分かんないわ」
それだけ言うと、臣さんは立ち上がり控え室へ歩いて行った。
「………臣さんにも分からないってさ。ほらぁ、やっぱり見る目ないんだよ隆二さん」
隆二さんの“見る目”も去ることながら、四季と臣さんが目も合わせないのがやっぱり気になる。
でも、四季が居るときにわざわざ話し掛けてきたってことは私の考えすぎなのかな……。
ぼんやりとそんなことを考えている私の肩を、四季が軽く掴んだ。
「Aはね、冬みたいに綺麗なの」
「え?」
「冬の空気みたいに張りつめて刺すような美しさがある。誰にも踏み荒らされてない真っ白な雪原みたいな人」
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2017年12月23日 23時