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見る目、見た目。 ページ12






「ねぇ四季。分かりやすい女って……どういうこと?」









階段にしゃがみこんだままの私たちは、白いニットの彼女を目で追いながら会話を続けた。









「だからぁ、あーいう女のこと」









「いや、それが分かんないって」









私が首を傾げた時、シャッターの音に紛れて「隆くん」という声が聞こえた。









甲高い、目一杯張ったその声の主は、









白いニットの彼女。









「……私の言ってる意味分かった?“分かりやすい女”でしょ、彼女」









私は傾げていた首を真っ直ぐに戻し“うん”と浅く頷いた。









「可愛い自分を……演出してるってことでしょ?」









「そうそう。多分あの白ニットも好きなんじゃない?隆二さんのこと……“隆くん”だってー……」









何故だろう、あの甲高い声でその呼び方をされると背中が寒くなる。









「でもさ、四季。好きな人の前ではみんな可愛い自分を見てほしいと思うんじゃない?それが……彼女の場合はああいう感じって言うか……」









「そーだよ?みーんな可愛い自分を見てほしいよ?でもね、いい女はそこで嘘はつかない。年相応の演出を知ってるの。だから白ニットはいい女じゃないの」









「言い切るじゃん」









「言い切る!女から見て嫌な女を好きになる隆二さんにAはもったいない!」









「………何か、四季私に気ぃ使ってるでしょ?勝ち目がないから諦めなって言ってくれて良いよ?私は片想いで良いんだし……」









「もう!そんなんじゃないって!本心で言ってんの!」









「本心でー?」









────「隆くん」









また甲高い声が聞こえて、白ニットが隆二さんに駆け寄る。









「「おぉ……」」









私たちは、そんな彼女の揺れる胸に釘付けになった。









「……四季、見た?小走りで揺れる胸……もう……絶対隆二さん好きだって……揺れるの」









「好きだろねー……」









「はぁ……やっぱセクシー系なのかな」









「セクシー?」









「セクシー……じゃない?」









「あれはセクシーって言わない。白ニットが醸し出してるのは“性”」









「性!?」









「うん!セクシーとか色っぽいって言うのはさぁ……裸が衣装になる人のことだよ」

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作者名:ぽち。 | 作成日時:2017年12月23日 23時

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