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四季は手すりの間に顔を押し込むように彼女を凝視した。
「うーわ。あの子かぁ」
「可愛いよね……何かぬいぐるみ的な……ね?」
「は?」
「え?」
「あれ、可愛いか?」
「可愛いと思うけど……」
白いニット、柔らかそうな素材のスカート、テカッとした顔にパステルカラーのネイル。
「男ウケ抜群って感じで可愛くない?」
私の発言に、四季は擦り傷をいじられたように顔をしかめた。
「………やめとけば?」
「………やっぱ私じゃ敵わない相手ってこと?だよねぇ、可愛いもん」
「じゃなくて。隆二さんへの片想い」
「え?」
「あんな分かりやすい女を好きになる人に、Aの魅力が分かるとは思えないな私……」
スッと目を細めた四季が、不服そうに唇を尖らせた。
「見る目ないんだなぁ、隆二さん……」
.
.
.
“やめとけば?”
そう言われてやめられたら、どんなに良いだろう。
恋にかたちがあるならば、そこに触れずにいられるのに。
輪郭すらないせいで、気が付けば触れてしまっている。
もし私の恋に隆二さんが触れたなら、
私はどんな気持ちになるでしょう。
掴んで揺さぶって欲しいなんて言えない。
でも、綺麗なあの指先で触れてもらえたら、
どんな気持ちになるのでしょう───。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2017年12月23日 23時