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ラインを越えるとき。side T ページ14





「────って言うわけだから二人とも自分の彼女に食事会に来るように言っといてね。以上!」









臣さんは“頼むね”と両手を合わせ席から立ち上がろうとした。









「ちょっと待ってよ!臣さんが自分で頼めば良いじゃん」









“だよね?”と隆二さんに同意を求めたら「そうだよ!」と首を激しく振った。









「臣が言った方が説得力あるしさぁ。二人だってカンナちゃんのこと気にしてたんだから“行く”って言うよ」









「そうだけどさぁ……あの二人に“来いよ!”って強く言えないよ俺」









「「それは俺らも一緒!」」









こういうの強制参加みたいにさせるの嫌なんだよなぁ……。









「んじゃもう“臣に泣きつかれた”とか何とか言ってくれて良いから!頼んだよ!」









仕事の時間が迫っている臣さんは、そのままバタバタと事務所を出ていった。









「隆二さーん、どうしたんだよ臣さん。今回すっごく協力をあおぐよね」









「うーん………慎重なんじゃね。ちょっと分かるけど」









「経験者は語る、だね」









俺が突っ込むと、隆二さんは照れ笑いを浮かべた。









隆二さんがAと付き合って変わったことは、こうして“彼女大好き!”を隠さなくなったこと。









今までは“彼女とどう?”なんて聞いてもはぐらかすような事が多かったのに。









「岩ちゃん、カンナちゃんってどんな子?」









「隆二さん本当に覚えてないの?」









「覚えてない」









「どんだけAばっか見てたんだよ……やらしい目で見てたんでしょ?」









「たまんねぇなおい、って見てた」









「今度Aに言ってやろ。えっと……カンナちゃんの写真がないんだけど……あ!お店のFacebookとかに載ってるかも!」









「おぉ!」









「あぁいうお洒落なお店は大体やってる………ほら!」









俺は携帯を隆二さんにも見えるように持ち直し、投稿を遡った。









「んとー………あ!この子!ほら、スタッフのオススメってとこ」









「………え、これがカンナちゃん?」









隆二さんは険しい顔をして画面を覗き込んだ。

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作者名:ぽち。 | 作成日時:2017年5月6日 21時

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