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「うん酔ってる!そんなに飲んでないけどね!」
そりゃまだ8時だもん。でも外見の仕上がりは深夜帯よあなた。
「弱いんだからあんまり飲んじゃダメだよ。ほら、上がって」
小夜から荷物を受け取ろうとすると、彼女は壁におでこをゴンっとつけた。
「………う……うぅっ」
「………泣いてんの!?さっきまで御機嫌だったのに!?」
「優しー……Aは優しーね。急に来た私の心配してくれて」
「ありがとう。でも壁じゃなくて私に向かって言ってくれるともっと嬉しいかな」
「はは!厚かましいな!」
「えぇ!?」
─────めんどくせぇ、こいつ。
「もう、取り敢えず上がって」
千鳥足の見本みたいな小夜に肩を貸し、リビングに座らせる。
「はい、お水」
「ありがとう」
両手でグラスを持った小夜は半分ほどを一気に飲んで勢いよくテーブルに置いた。
「何か良い匂いするー。ご飯?」
「ミルクスープ。飲む?どっちかって言うと明日の朝に飲んだ方が良い気がするけど」
「仰せのままに」
「う、うん……」
グラスに水を注ぎ足し、小夜が着たままのコートを脱がした。
「珍しいね、そんな酔っちゃって。どうしたの?」
ハンガーにかけるときそのコートがFENDIだと気が付いて、私の手付きは自然と丁寧になる。
素敵なコートを着て、きっとお酒を飲むまではいつもの可愛い小夜だったはずなのに。
何でこんなやけ酒みたいな………。
陸人くんとの話し合い、うまくいかなかったんだろうか。
「どこで飲んでたの?」
「どこだったかな……」
「駅のホームとかじゃないよね!?」
「ないない」
「なら良いけど……今日泊まるでしょ?天文台ね、明日から設備点検で暫く閉めるの。だから明日もゆっくり話聞けるけど、どうする?」
「うーん………」
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2017年3月4日 17時