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Fly Me To The Moon. ページ41





小夜からいつ連絡が来ても良いように、隆二さんちに着いてからも私は携帯を肌身離さず持ち歩いた。









モソモソした豆が口に残っている気がして、洗面所でうがいしてる間もずっと。









“今から陸人と話してくる。こういうのは早い方が良いから”









そうメッセージが来たのは、さぁ!お風呂に入ろう!ってときだった。









バスルームへ向かう廊下で、私は着替えが入ったカバンを胸に抱いたまま、“何かあったらすぐ連絡してね”と返した。









「………大丈夫かな」









視線の先では、赤いビニール傘から垂れた雨の滴が、玄関のタイルに小さな水溜まりを作っている。









「何やってんの」









声をかけられて振り返ると、リビングのドアから顔を覗かせた隆二さんが“ん?”と首を傾げた。









「………あ、隆二さん。お風呂ですか?」









「………いや、風呂に入るのはA。でも全然入ってる気配がないから様子見に来たらそこに突っ立ってたから声かけた」









「………ですよね!私がお風呂入るんでしたよね!」









一瞬、思考が銀河の彼方へぶっ飛んでしまっていた。









「どうした?宇宙のことでも考えてた?」









「当たらずも遠からずです。あの、これ……」









隆二さんにLINEの画面を見せると、彼は文字を目で追い“うん”と頷いた。









「……それだけですか?」









「何?」









「気になりませんか?」









隆二さんは「大丈夫でしょ」と私の頭を撫でた。









「小夜は一生懸命話すと思うよ。その、陸人くん?って“んだこらぁ!”とか言うタイプ?」









「全然。凄く穏やかな人です」









「なら大丈夫だよ」









隆二さんは私の肩を抱き顔を覗き込む。









「一晩かかろうが二晩かかろうが、小夜は中途半端に投げ出したりしない。彼氏もそれをよく分かってるんじゃない?とことん話し合うよ」









「………うん」









「Aは黙って待つんでしょ?」









「うん……」









「そんな顔して……風呂入ってさっぱりしてこい!」









背中を叩かれて私はちょっと前のめりになった。









「は、入ってきまーす!」

2 side R→←5



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作者名:ぽち。 | 作成日時:2017年3月4日 17時

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