星のランプに、恋を灯せば。4 (ページ36)

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晴れを待ちわびて。ページ36

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小夜が泣き止むまで私は傍に居て、お風呂に入ってもらってフカフカのお布団を用意してそこで寝てもらった。

辛いときは眠るのが一番。

朝になったら全てが明るくなっていることを願いながら。

でも、彼女の寝息が聞こえてきても私は中々眠れなかった。

ベッドの下で眠っている小夜の顔を見ながら、私は彼女と出会った日を思い出していた。

事務所に入社するにあたって書かなければいけない書類にペンを走らせている私の隣に座ったのが小夜だった。

はっきりした目元に違和感なく入れられているアイライン。

目尻でキュッと跳ねているそのラインがとっても可愛くて、つるんとしたおでこや、ピンクのリップが似合う愛らしい唇に私は一目惚れした。

“新入社員の方ですか？”

私が尋ねたら、小夜は優しく目尻を下げて“はい”と答えた。

喋ると声も可愛くて、だけどどこかお姉さんな雰囲気もあって、手先が器用で、長い髪を色んなアレンジをしてすっきりとまとめていて……。

大抵の男の人は彼女を可愛いと思うに違いない。

臣さんも“下心とかじゃなくて可愛いと思うよ”と小夜を誉めていた。

因みに私は“床の間に飾ってある人形みたいで全然可愛くない”そうだ。

「今更ムカついてきたな………まぁ良いや」

小夜は聞き上手で、優しくて、涙脆くて、機械が苦手で、ungridが好きで、お酒が弱くて、わりと尽くすタイプで────

岩田さんが小夜のどこを好きになったのか分からないけど、私も小夜のことが好きだから……出来ればあまり泣かせないで欲しいと思う。

小夜が何かの結論を出したとき、それを優しく受け止めてほしい。

小夜が悩んで納得して決めて、そして幸せになれますように。

私の願いは、それだけ。

「はぁ……」

寝返りをうって携帯に手を伸ばし、LINEを開いた。

隆二さんに何か送りたいけど、言葉が浮かんでこない。

小夜が泣いたんです。
岩田さん、小夜が好きなんです。
私も泣きそうなんです。

文字をうっては消して、うっては消して────

“風が凄いですね。おやすみなさい”

それだけ送って、眠りに就いた。